新潟ジャズストリートの場合

 2003年1月22日 市内10店舗が集まり実行委員会を立ち上げ、地元ジャズメンと愛好家の協力を得て「第1回新潟ジャズストリート」は開催されました。ジャズ音楽の振興とジャズの街新潟を夢見ての事でした。資金は0。数店が赤字の場合負担すると決め、バンドの面々にも報酬の保証はない事を了承してもらいました。

 料金は共通チケット1000円・各店500円均一料金の飲み物を用意しました。驚いたことに雪の新潟の繁華街を、チケットを手に大勢の人達が行き来したのです。野外ストリートでの演奏は不可能と思っていたところ、有志ジャズメンから是非やりたいとの申し出があり、悪天候の中、報酬なしで演奏しました。マスコミの報道・協力も得て私達は思い掛けない成功を収めたのです。出演ミュージシャン総数60名。チケット売上716枚。経費を差し引きミュージシャンに均等割しました。ストリートミュージシャンは申し出どおり無報酬でした。

JASRACについては、この様な収益目的ではない地域文化の振興的な催しに文化庁の許認可団体が多額の説明の付かない課金をするとは考えが及びませんでした。

 2003年7月11日「第2回新潟ジャズストリート」開催。その準備の真っ只中5月JASRACより音楽著作権使用許諾を得るようにと連絡がありました。同時にスワン、ジャズママへの過去10年分と今後の使用料支払いの請求が来ました。スワン・ジャズママの経緯は、スワン近況に書いてあります。

 新潟ジャズストリートは支払う方向で話を進めました。JASRACと音楽著作権使用料について詳しい者はだれもいませんでしたが、ジャズストリートもできれば未契約の各店もこれを機会に契約に至ればと心から思って期待しました。

7月初旬支払い額を尋ねたところ「2回開催で55万円位です。この様な催しは全国的にありますが、だいたいそれくらいは頂いている」と大宮支部から電話がありました。新潟ジャズストリートの規模と趣旨をご理解いただけたら、その様な額になる筈がないと思いました。参加会場は10店舗と今回初めて400人規模のホール。出演ミュージシャン総数183名。チケット売上1406枚。料金1000円の各会場共通チケットでした。

 7月23日6:00よりJASRACに明細の説明をお聞きしました。大宮支部より支部長他1名計2名。ジャズストリートよりスワン・会計・他1名計3名が出席しました。

 音楽著作権使用料1回目136,000円。2回目186,000円。(消費税抜き)

合計322,000円+16,100(消費税)=338,100円

チケット総売上の1/6の額です。「前にお話したより少し安くなりました」とJASRAC

「ちょっとまって、それは現場で汗を流したミュージシャンの取り分なんですけど」

適用した算定表は「小規模コンサートの使用料(定員100名まで)」これは使用料規程(SWAN7月調停時に入手)には載っていない。1店舗入場料1000円で2時間までの演奏8,000円、昼夜2回公演で8,000円×2回=16,000円。

定員10名程の店舗1、20〜30名の店舗7、50名の店舗1、100名の店舗1であるのに一律100名定員での課金は納得できない。主催者は実行委員会で、共通チケットで昼夜どこへでも何回でもいけるのだから全店舗を一つの会場としてみてもらえないかと掛け合いました。

・100名が最小単位の定員でそれ以下の規程はない。10月に使用料規程が改定になるかもしれない、そうすれば少し安くなるかもしれない。

・共通チケットでも最初に入る時1000円支払うから料金は1000円です。

・共通チケット1000円、通しで聞けても、2回公演ですから2回分になります。

・ストリートは無報酬でも営利が生ずる催しに付随した催しであれば著作権使用料をいただきます。

・音楽文化の振興は関係ありません。著作権を守る事が音楽文化の振興です。

とのお答えでした。新幹線の時間だからと1時間足らずで帰って行きました。実行委員会に持ち帰って検討後、またお会いする約束だったのですが。

 7月27日 文書で全店共通チケットについての明確な見解を再度質問しましたが、説明会は終わりました、お支払くださいとの返信が来ました。

 9月24日 実行委員会では弁護士に相談の後、使用料規程2演奏会における演奏(2)軽音楽に属するものを根拠にして妥当と思われる額を振り込みました。1回分27000円、2回分33000円合計60000円と消費税3000円。ストリート演奏については著作権法38条の第1項により使用料は生じないと考えました。

 9月24日 7月23日にご説明しご理解いただいたものと思っております。請求額は338,100円です。至急ご清算ください。63000円はあっさり返金されました。

 10月1日JASRACより改定された使用料規程の送付と入金の督促が来ました。

改定された使用料規程によると、総入場料算定基準額とは入場料×定員数×50%(継続して開催する利用者で年間の包括的利用許諾契約を締結する場合)でその2%の額を使用料とするとあります。

入場料1000円×定員数30名×50%×2%=300円 ただし、定員数に5円を乗じて得た額 定員数30名×5円=150円 あるいは2500円を下回る場合には、そのいずれか多い額を使用料とする。その計算で使用料2500円になるには

入場料1000円×定員数250名×50%×2%=2500円 または

定員数500名×5円=2500円 それでは入場料1000円の場合、定員数30名前後の店舗と定員数250〜500名規模の店舗が同じ算定額となる。

 公演数は譲るとして、使用料2500円×2公演=5000円と今までの使用料請求額8000円×2公演=16000円を比べると3倍強の額となる。

 10月10日 再度文書でご説明お願いいたします。請求額支払いはその後にして頂きたい旨文書送付

 11月6日 JASRACよりSWAN無許諾利用期間分(過去10年分330万)支払と今後の利用許諾契約(36960円)、ジャズストリート2回分(330,000円)支払完了しないかぎり、当協会管理著作物の利用を許諾いたしかねます。との文書を送付される。

11月11日 JASRACより参加10店舗に「音楽著作権管理事業法」に基づき文化庁長官に届出を受理された使用料規程に定める音楽著作物使用料を支払うよう。ジャズストリート2回分の支払がない場合、管理著作物の使用許諾をださない旨の文書送付される。

 11月中旬 第3回新潟ジャズストリート1月18日開催についての集まりの席上、数店より異議が提出され、継続の為支払いを決定。

 11月下旬 338,100円振込み。

 1月18日 第3回新潟ジャズストリート開催。参加会場20。出演ミュージシャン総数158名。チケット売上1330枚。音楽著作権使用料82000円。

2500円×2公演=5000円 5000円×13会場=65000円

2500円×1公演=2500円 2500円× 6会場=15000円

2000円×1公演=2000円 2000円× 1会場= 2000円

 6月12日・13日 第4回新潟ジャズストリート開催。12日参加会場17、ストリート会場3。13日参加会場ホールとホール内施設4、野外2(ホール同一敷地内)。出演ミュージシャン総数256名。チケット売上1734枚。

音楽著作権使用料12日42500円、13日26500円、合計69000円。

12日分

2500円×1公演=2500円 2500円×17会場=42500円

ストリート会場3ヶ所(無料)は使用料なし。

13日分

入場料1000円×定員数1900名×50%×2%=19000円

2500円×3公演=7500円

野外会場(無料)2ヶ所は使用料なし。昨年の2回分330,000円は何だったのか。

JASRAC評議員の玉木氏のHPに「3億円も収入の有るコンサートの使用料が20万円というのは安すぎるのではないか」との発言がある。「先生大丈夫ですよ、100万円の収入のコンサートからも20万円取れる仕組みがあるのですから」ということでしょうか。

同じくすぎやまこういち氏の発言「コストパフォーマンスという考えを知った方がいい。精度をあげたらこれだけかかるという事を知らせてほしい」「先生、私達は音楽=お金とは考えていないんですけど。音楽は我が喜び、心の糧」なんちゃって。

「音楽は誰のものなのか」JASRACに管理委託された作曲者・作詞者・音楽出版社・レコード業界等の権利主張は理解しますが、そこははたして文化庁(日本国)の許認可業者として民に対して平等であり公平性と透明性が保たれていると言えるのでしょうか。

高圧的態度で臨み、無知に付け込み高額な懲罰的課金をする。その様なやり方で音楽の生まれる現場を疲弊させる事はやがては音楽の衰退に繋がるのではないでしょうか???